令和4年度「ひがしひろしま 学生×地域塾」【後期】活動レポート!

ひとむすび

東広島まるひネットを運営するひとむすびでは、大学生が自分の好きなことや得意なことを生かしながら、実際に地域に対してどんなことができそうかを一緒に考え、プロジェクトを実施するまでの伴走支援を行っています。

「ひがしひろしま 学生×地域塾」とは:「ひがしひろしま学生×地域塾【後期】」塾生を募集しています!

今回は、「ひがしひろしま 学生×地域塾」を開催した学生から、それぞれの活動レポートが届きましたよ!

共生社会の実現に向けて 羽原宗一朗・教育学部3年

「こんな人がいる時、あなたならどうしますか?」

障がいの有無に関わらず、みんなが助け合って暮らすことのできる社会になってほしい。

そんな思いを胸に、昨年(2022年)12/5(月)と12/6(火)の2日間にわたって、東広島市役所1階ロビーにて障がいの知識についてポスター展示活動を行いました。

ちなみに、毎年12/3(土)~12/9(金)は障害者週間です。

障害者週間とは、障害者基本法で定められた、国民の間に広く障害者の福祉についての関心と理解を深め、意識啓発をする期間のこと。

ヒアリング等、地域塾での活動を重ねる中で、外見からは分からない障がいに苦しんでいる方が多くいることを知りました。

「知っている」ことで障がいがある方への配慮や気配りができることから、日常生活でちょっと思い出せるような知識を伝えたいと思うようになり、「こんな人がいる時、あなたならどうしますか?」というタイトルでポスター展示活動をさせていただきました。

当日はこのような感じでパネルに啓発活動ポスターを張り付けました。

ちなみにポスターは、1つの障がいに関する説明とどのようなことに困るのかを説明するつくりになっています。

展示活動当日は、お世話になった方々にいただいたパンフレットも一緒に配布。

多くの方に見ていただき、終了時にはパンフレットもほとんど無くなっていました!

展示を見ている方とのお話をきっかけに手話を教えていただき、手話でコミュニケーションを取る貴重な経験もしました。

デリケートな話題なため、言葉遣いや表現で不快になる方がいないか不安を感じていましたが、アンケートでは「来年もやってほしい」との声もいただき嬉しく思いました。

活動を通して、障がいを持たれている方の暖かな心や大きなパワーに触れ、私自身大きな勇気をもらいました。

歩み寄る一歩を踏み出すことが何より大事なことを勉強しました。

今回の企画実施にあたって、様々な人たちに話を聞くために、障がいを持つお子さんの支援をしている「ピッピーノさん」や東広島市役所障害福祉課、西条特別支援学校、障害者支援団体の「はあとふるさん」にお時間をいただきました。

お忙しいところ展示をご覧いただいたみなさん、ありがとうございました。

食品ロス×クリスマス料理イベント 井上琴葉・文学部1年

食べ物を無駄なく、おいしく食べることができていますか?

この質問に自信をもって「はい」と答えられますか?

私も、ちょっと気を抜いて冷蔵庫にしばらく置いたがために野菜がしなしなになったり、食品を腐らせてしまった経験が何度もあります。

私は、子供のころから言われてきた「食べ物は残さず食べなさい」ということと、世間で問題になっている「食品ロス」という現状に今まで違和感を持ってきました。

この違和感から、食品ロスを減らすにはどうしたらいいか? と考えはじめたことが、今回の企画を行ったきっかけです。

調べていく中で、家庭から出る食品ロスの多くの部分は野菜だと知りました。

そのため、まずは家庭から、そして、私の身近な大学生の生活でうまれる廃棄を減らそうと思いました。

野菜の正しい保存方法や野菜の切り方を楽しく伝えるために、料理イベントを企画。

イベントの参加者は大学生13人。

クリスマスの時期にあわせてクリスマス料理を作りました。

今回は「野菜の過剰除去」について焦点を当てて説明をしました。

例えば、野菜の皮をむくときにピーラーではなく他の方法を使うことで、捨てる部分を減らすことができるなどです。

調理前に行った食品ロスに関するクイズでは、参加者の予想と正解が大きく違うこともあり「知らなかった!」という反応も多く見受けられました。

イベント後のアンケートでは、

「野菜の保存方法について知れた」
「食品ロスへの意識が高まった」

という意見が多くよせられました。

また、「このイベントを通して、新しい友達や人とのつながりができた」という意見も!

イベントを実施して良かったと思えた点でした。

地域塾を通して企画する時の工夫や実際に現場を回す力が身についたと感じています。

一方で、野菜の保存方法や食品ロスの現状については、自身の知識不足や時間の関係上、多くを伝えきれませんでした。

今回学んだ反省点やものの見方、考え方を、他の活動にも活かしていけたらいいなと思っています。

人&農業 架け橋プロジェクト 木村蒼唯・総合科学部1年

雪国新潟からはるばる、この東広島市に越してきて半年。

その間には約700kmもの直線距離がありますが、どちらも農業が盛んに行われています。

年々、農業従事者は減少の一途を辿り、農林水産省によると、この20年で約90 万人ほど減少しました。

農業は私たちの食を支える必要不可欠な産業である反面、農家さんの収入は少ないという問題を抱え、農業従事者減少の要因の一つになっています。

しかし、一大学生である私にできることは限られています。そこで、私にできることについて考えました。

私は食べることが大好きです。実家が農家ということもあり、幼いころから農業が身近にあり、新潟のお米を食べて育ちました。

日本の農作物は多くの手間がかけられ、和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたことからもわかるように、世界から高く評価されています。

そんな日本の食を支える伝統的な農家さんを直接サポートしたいという思いで、今回「人&農業 架け橋プロジェクト」と題して取り組みました。

企画内容は、農家さんのファンを増やし、農家さんが持続して農業に取り組めることを目標として、農業を紹介するPR記事の作成、webサイトへの掲載、インスタグラムへの投稿です。

そこで、東広島市の吉川地域で農業を営み、農業法人に勤めていらっしゃる横山様にヒアリングを行い、それを基に吉川地域と農業について記事を作成し、東広島まるひネットに掲載していただきました。

記事はこちらから:吉川の新鮮野菜と農業を守りたい。「農事組合法人よしかわ」の生産者にインタビュー

また、インスタグラムでは高校生、大学生向けに農業を紹介する投稿を自身のインスタグラムに3件アップしました。

実際に記事を掲載して、様々な方から感想や反響を頂いたり、興味を持ってくださった方がメッセージをくださったりして、私の企画を通して農業と人を結ぶことができたと考えています。

私自身も、この企画を通して自分の興味関心を発掘できたり、進路や留学先にいい影響があったりと、大きく成長できました。

今後も、農業に携わり、農業について発信していきたいと思います。支えてくださったすべての皆さんには、大変感謝しています。ありがとうございました!

日常生活を素朴に、素敵にしよう 五十嵐萌香・総合科学部1年

SGD’sやサステナブルと言った、世界的に環境問題への関心が高まってきた時代。

関心のある問題が多すぎて、何に焦点を当てたらいいかわからずにいた今までの私は、地域塾に挑戦することにしました。

個人の身近な生活から「明るい未来の手助けがしたい」と考えて始めた私のプロジェクトは、ごみ問題に注目することになりました。

壊れたら同じ新品を使うのが普通。モノに溢れすぎた世界に生まれた私たちの感覚は子供たちに受け継いではいけない。

たくさんの方にお話を聞き、紆余曲折しながらたどり着いたのは、東広島でアップサイクル活動に取り組む団体「アオイチキュウへ」との出会いでした。

アップサイクルとは、従来から行なわれてきたリサイクルとは異なり、単なる素材の原料化、その再利用ではなく、元の製品よりも次元・価値の高いモノを生み出すことを最終的な目的とする、持続可能なものづくりの新たな方法論のひとつで近年注目されるようになってきました。

「アオイチキュウへ」としての活動や熱い想いを知り、東広島からこの風潮をもっと多くの人の当たり前にしていきたいと考えました。

そこで、綺麗でも使い切りで大量に捨てられるブルーシートを原料としたオーダーメイドバック、

未使用でも10年で必ず交換され、産業廃棄物として扱われる消防ホースを原料とした傘収納ケースの制作過程を動画にまとめ、SNSでの拡散を狙いました。

このプロジェクト全体を通して気が付いたことは、「これ何かに使えないかな?」と思う気持ちを持つ人はたくさんいて、その想いを誰かと共有することでどんな形であれつながれるということです。

あなたの日常生活の中に、違うものに生まれ変わったらもっと力を発揮できるモノが隠れているかもしれません。どんな変化を見せてくれるのか、モノの使い方は無限です。「もったいない精神」で一緒に考えてみませんか?

地域と連携した体験活動~三ッ城古墳を舞台に~ 片山崚河・専門職大学院1年

みなさんは東広島市にある「三ッ城古墳」に行ったことはありますか?

三ッ城古墳は、広島県最大の前方後円墳です。

私は教育の分野に興味があり、学校外の場で体験活動を通して、地域の魅力を感じたり、今後の学習などに活かしたりして、生きる力を育むことができるようにしたいと考えて企画を実施しました。

企画を実施するにあたり、地域の方々にインタビューを行いました。

自治協議会で活動をされている方と保護者の方に、地域と学校の連携や地域でのイベントなどについて、どのように考えているのかを聞き、企画の内容を考えました。

例えば、保護者のお話を伺ってみると、教育に関心のある保護者はおり、お祭りなど、地域で開催されるイベントには参加したいとおっしゃっていました。

また、体験した経験や記憶は数年経っても忘れることはないのではないか、という話がありました。

このような話を聞き、地域での教育となる貴重な経験になる体験活動を考えました。

そこで、小学生を対象に、身近な場で地域の魅力を発見できる三ッ城古墳を舞台にして、生きる力を育んだり、地域の魅力を探したりすることができるようなイベントを実施しました。

昨年(2022年)12/4(日)に企画を実施。

アイスブレイクでは、「言うこと一緒、やること一緒」というゲームをアレンジし体を動かしました。

12月の寒い日でしたが、体を動かすことで体も心も温まり、笑顔も見られました。

クイズラリーでは、三ッ城古墳や東広島市に関する問題を三ッ城古墳周辺に設置して、ビンゴを目指すゲームを行いました。

子どもと保護者は、どこに問題があるか熱心に探し、三ッ城古墳周辺を歩き回りながら、楽しそうに問題を解いていました。

クイズラリーの時間が終わる頃には、全問見つけて全問正解する人もいました!

最後に表彰状を渡して企画を終えました。

参加してくださった子どもと保護者は楽しく過ごすことができたのではないかと感じました。

今回の企画を実施するにあたり、教育は学校や家庭だけでなく、地域でも行う必要があると改めて考えました。

学校と地域が連携した教育を考え、子どもの学びを充実させていけるよう、今後も考えていきたいと思います。

今読んでくださっている読者の皆様も、少しでも地域のイベントや教育に興味を持ってもらえると嬉しいです!

学校と地域を繋ぎ、地域を学びの場に。教育に関わっている地域の方々にインタビュー 江嵜佑介・教育学部4年

僕は来年度から中学校の教員になるのですが、勉強している時に「地域と学校が繋がっていけばもっと深い学びができる教育を行えるのではないか?」と思ったのがきっかけで、実際に関わっている人にお話を伺ってみたいと思いました。

そして、今回は、地域・保護者の2つの視点から「学校との連携を取ってみたからこそ分かること」や「それぞれの立場から見た学校との連携」について伺おうと思い、3人の方にインタビューを行いました。

中でも印象的だった地域側のエピソードがあるので紹介します。

地域の人は子ども達の今後について学校と話し合う場に出席したり、先生たちと一緒に活動をする機会が多いことを伺いました。

例えば、学校が「相撲場をつくりたいけど、どうしたらよいか」と地域に相談が来た場合は、地域の人達が有志で相撲場を作ったそうです。

ただ、毎回相撲場のように連携が円滑にいくわけではなく、まれに両者の意見が合わず方向性が定まらないこともあるそうです。

そんな時、学校現場で働いた経験を活かしながらAさんが両者の間に立つことで、活動の方向性をすり合わせることができたことがあるそうです。

この話を受けて、地域と学校が連携を取るためには、Aさんのように地域と学校の間に立つ人の存在が必要だと考えました。

また、違う地域で住民自治協議会の運営をしているBさんに話を聞いてみたところ、「学校と連携して地域の子ども達を育てていきたい」とおっしゃっていました。

実際に学校に足を運んだり子ども達向けのイベントを企画したりするなど、日々努力をされているそうです。

その原動力について聞いたところ「子どもたちが成長した姿を見るのが嬉しいから」とおっしゃっていました。

これから教員になる僕にとって、AさんやBさんのような地域の人達がいることを知ることができ、とても良かったです。

ただ、地域との連携と言っても、保護者の意向や地域の実情、子どもを育てることに関わるそれぞれの人の想い、ニュースや様々なところで言われている「教員の多忙化」。

様々なものが複雑に絡み合っています。

今回のヒアリングでも苦労話もたくさん聞きました。

どのようにすれば地域と学校が連携を取り、子どもの学びの場をより豊かにしていくことができるのかは僕の中で明確な答えは出ませんでした。

ただ1つだけ確信を持てることは、この難しい問いを社会全体で考えていくことで、複雑に絡んでいる様々なものが少しずつ少しずつほどけていき、いつか大きな絡まりもほどけるときが来るということです。

今読んでくださっている読者の皆様に、少しでも地域と学校の連携について考えてもらい、「日本の未来を創る子どもを育てる」ことに興味を持つきっかけになると嬉しいです!

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